20年後、母と子どもが本当に見たい成長の記録写真を撮る方法
プロが教える子どもの撮り方では見たい写真は残らない
自分のアルバム、子どもの頃の写真はどれくらいありますか。そこにはどんな写真がのこっているのでしょうか。
あなたは子供のころ、どんな顔で笑ったり泣いたりしていましたか?
遠足のお弁当は毎年どんなでしたか?
一枚の写真には、そこに至る経緯やその後の出来事、係った人の気持ちも「思い出」としてたくさんの記憶がつまっています。
残念ながら筆者の場合は、すまし顔で直立不動の「記念写真」くらいしかなく、年年薄れていく記憶の中で、“あの頃”の出来事や母の気持ちを手繰る手掛かりはほとんど残っていません。
大人になってから見たかったあの頃・あの時は、親が子どもを可愛く撮りたいとシャッターを切る瞬間の中にはそれほど多くはのこっていません。
「子どもを可愛く撮りたい」
誰もがそう思うのは当たり前。そしてそれを指南するサイトは山のようにありますが、プロが教えるテクニックだけでは、そこに写った子どもが将来感動するような写真はそれほど多くは残せないものなのです。
子どもが大人になったとき、優しかったお母さんの思い出、楽しかったけどケガをして大泣きしたおでかけの記憶、兄弟げんかした後、泣きながらほおばったホットケーキミックスの味。
そんなあの頃をわが子と楽しく語り合える写真をもっとたくさん残していきませんか。
子どもの写真を撮るときに心がけておくこと
(1)子どもにどんな写真を残すの?
可愛いだけが子どもではありません。子どもとは?と考えた時に、日本とアメリカでは大きく異なるようです。
- 日本:大人と子どもは別の生きもの
- アメリカ:子どもは小さな大人
文化を振り返って見ると、お正月に親族が集まった際、子どもたちと大人では、別々のテーブルに集まって食事をする。日本では割と少なくない光景ですよね。しかし、例えは良くありませんが、人間とペットが同じ食卓には着かないのと同じみたい?そんな風に感じるアメリカ人の友人がいます。なぜならアメリカでは子どもだけが別のテーブルなんてあり得ないそうです。
日本では「成人」するまでは大人と別として見ている人が多く、逆にアメリカでは“成人”の概念が希薄です。したがって本質的に大人と子供は同じ生き物として考えられており感覚は大きく異なります。自分と同じ子どもにたいしてとてもフレンドリーなアメリカ人に対し、日本では自分と異なる生き物である子どもを「嫌い」な人が少なくありません。
話がそれたように感じるかもしれませんが、子どもであっても同じ人間です。暮らしの中に、様々な想いを秘めて毎日連続的に私たち大人に近づいています。「私」からみた「可愛い・愛している」という気持ちだけでシャッター切るのではなく、ひとりの小さな人間として、大人への連続した成長の過程を撮影する。そんな風に考えてみてはいかがでしょう。
(2)繰り返しの定点観測が面白い
お雛様を最後に飾ったのはいつ?
こいのぼりを最後につくったのはいつ?
どんどん成長する子ども。繰り返し訪れる行事ごと。料理の腕が上がっていくママや、成長とともに理解するサンタの正体。
成長にあわせて次第に簡素になっていくイベントの様子や期待はずれな感動なども、あとから見返せば心を揺さぶる記憶の瞬間です。
例えば日々のお弁当の写真は大変ですが、遠足や運動会のお弁当なら高校生くらいまでの10年以上は連続して記録に残せるでしょう。お弁当箱やキッチンの様子、出かけていく後ろ姿、帰ってきたときの表情などの写真があれば、子どもが大人になったとき、20数年前のあの頃をドラマチックに思い起こせることでしょう。
(3)いい写真は数の中にある
プロカメラマンが仕事で10カット程度のモデル撮影するとき、5つくらいのシーンを撮影します。1シーンにつき100枚以上はシャッターを切りますので、単純に1000~2000枚もの数を写真に納めます。
プロですから、最高の一枚を切り取る為にあの手この手でモデルの表情や仕草を引き出し、汗だくになってシャッターを切り続け、ようやく数枚の納品に至るわけですね。
一方で、技術だけでなく機材も大きく劣るアマチュアカメラマン。そんなパパママカメラマンが1回シャッターを切ってよい写真を残す、なんて至難の業。
とにもかくにも、アマチュアカメラマンは撮影枚数がキモ。日頃から一枚多めにシャッターを切る癖をつけておきましょう。
特に一眼レフカメラをもっている方であれば、動いているお子さんの撮影の時は連射機能をしっかりと使って、たくさん写真を撮っておきましょう。
(4)スマホのレンズはまめに拭いておく
生活の中で一瞬を切り取る最も身近で優秀なカメラは間違いなくスマホです。スマホで撮影した写真が何となくくすんでいたり、濁っているように見えたりしていませんか?
子ども以上に肌身離さずいっしょに過ごしているスマホだけに、実はとっても汚れています。子どもに触らせることもあるママのスマホは、代謝の著しい子どもの皮脂でべっとり。
むき出しで装着されているスマホのレンズの汚れはせっかくの瞬間を台無しにしてしまいますので、日頃からこまめにきれいにする習慣をつけましょう。
スマホレンズの掃除について
マイクロファイバー製のメガネ拭きが最適です。子どもの皮脂・唾液や食べ物など、汚れのひどい場合は、メガネのレンズクリーナーをメガネ拭きにつけて使用しましょう。
ダイソーなど100均で売っているもので十分ですよ。
ちなみに、ティッシュやハンカチなどでレンズを拭くのは傷の原因にもなりますので極力避けるようにしましょう。
(5)何を撮影したのかわかるように
メモを残そう。という話ではありません。スマホのカメラロールなら位置情報や連続した前後の写真からかなりのことがわかります。それと同じように、1枚の写真に語らせたいことを考えて撮影することをお勧めします。
具体的には、
- 可愛い、大泣き、怒ってる、大爆笑、爆睡など、豊かな表情が目的ならアップ
- 大興奮!爆笑!大泣き!など事件や事柄を残したいなら、係りの背景を一緒にフレームに収める
例)算数のドリル、苦手な野菜など - 沢山お出かけした思い出は、旅先がイメージできるものを映り込ませてべたな記念写真を残しておく
可愛い一枚はとことん寄って、バストアップやフェイスアップをしっかりたくさん。事柄に因んだ思い出写真は、30年後に見た時に、これなんだっけ?の手がかりを 引いた構図や広角側のレンズも上手く活用してフレームイン。
未来のこれなんだっけ?を減らす、メリハリをつけた撮影を心がけましょう。
まとめ
子どもの何を撮影するのか?
可愛いだけのニコパチ写真だけでは親の自己満足写真の価値しかありません。テクニックを学んで、素敵なボケ味の美しい写真もよいのですが、20年後、30年後に子どもと一緒に楽しむにはちょっとものたりないものです。
それに対して、どろんこ写真、ごはんつぶだらけの写真、宿題の算数ドリルができなくって泣きべそ!というような、
『連続して大人になっていく子どもの成長を記録に残す』
ことを心掛けて見てはいかがでしょうか。
テクニックはそれからでもよいのです。
企画:編集部
記事:編集部